社会福祉法人 菊清会 さくらしんまち保育園
業種
教育・塾
目的・効果
従業員間の連絡 支店・店舗との連絡 スマートフォン活用 ノウハウ共有 離職防止 グループウェア 会議・朝礼 日報・週報 予定の見える化 業務の見える化 FAX削減・ペーパーレス 導入のしやすさ
主な活用機能
トーク
掲示板
カレンダー
アンケート
お話を伺った方
園長 小嶋 泰輔さん(左)  
副主任 吉田 あやさん(右)
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紙とペンの使用をやめてLINE WORKSで保育業務を改革。情報共有のムリ・ムラ・ムダをなくし、クラスの垣根を越えた保育を推進して保護者からの信頼を獲得しています。

東京都世田谷区の社会福祉法人菊清会 さくらしんまち保育園は、紙ベースの書類が多く煩雑で、多忙な保育の中で忘れてはいけない情報は手に書くこともありました。保育士の過重労働や心理的な負担を解消すべくLINE WORKSを導入。掲示板やグループトークの活用で全職員へのタイムリーな情報共有を実現し、無駄な業務の削減や姉妹園との交流を活発にしました。さらに、園の方針である職員一人ひとりが100人の園児と向き合う「100対1の保育」に対して具体的なアクションを起こしやすくなりました。

 

本事例のポイント
  • 情報共有の体制が整い、園児のけが報告など保護者へのフォローが全職員ができるように
  • 紙の書類を掲示板に置き換え、業務時間の削減とクラスを越えた見守る保育を実現
  • 新入職員やサポートスタッフも園全体の動きを把握しやすくなり、早期離職を防止

さくらしんまち保育園の特長を教えてください。

小嶋さん:

当園は「一人ひとりを大切にする保育、100対1の保育、楽しく美味しい給食」を保育理念に掲げ、2008年4月に創立された保育園です。そんな当園の特長は「食育」で、12時になったら一斉に「いただきます」をするのではなく、子どもたちが食べたいタイミングで食事を始められるセミバイキング形式をとっています。食事をはじめとする生活のさまざまな場面で子どもたち自身が選択する機会を大切にしています。その結果、多くの子どもたちが食事を楽しみ、偏食が解消される傾向が見受けられます。

 

LINE WORKS導入前は、どのような課題に直面していましたか。

吉田さん:

これまでは主に「紙」や「人づて」で情報共有を行っており、当時の保育者たちはとにかく多忙で、伝達事項はペンで手に書き残さなければならないほどでした。さらに、業務日誌を作成するために事務室まで移動し、手書きで記入しなければならない状況でした。その多忙さゆえ、保育士を含む職員間のリアルタイムな情報共有以前に、連絡事項が職員全員に行き届かないことも珍しくありませんでした。こうしたアナログな情報共有の体制が、忙しい保育士の負担を一層増幅させる状況になっていたのです。

 

また、事務職員は全職員への確認事項が多く、ことあるごとに各クラスを回って「○○はどうですか?」と聞かなければならず、業務負担を感じているようでした。

 

 

小嶋さん:

保育園では優先順位に関係なく次から次へとさまざまな情報が押し寄せてきます。正直、「どの情報が重要なのか」「どの情報に対応が必要なのか」を整理するのが難しく、混乱することもありました。また、記録する手段は紙の他にPCでWordに打ち込む場合もあり、バラバラな情報管理にも課題を抱えていました。

課題解決の手段としてLINE WORKSを選定された理由を教えてください。

小嶋さん:

私たちがLINE WORKSを選定した最大の理由は、日常的に利用しているLINEと操作性が似通っていることで、忙しい保育士でも容易に使い始めることができると考えたからです。操作が複雑なツールを導入すると、それを覚えるために職員全体に時間と心理的な負担を増やします。またLINE WORKSは、トークやカレンダー、掲示板、アンケートといった機能がすべて1つに備えられているので、職員間の業務に必要な情報共有・ツールの集約を行うのに最適だということも選定理由となりました。

LINE WORKSの具体的な活用方法および導入成果をお聞かせください。

【掲示板】全職員との情報共有がスムーズに行え、いつでも必要な情報にアクセスできる
【アンケート】購買に関するアンケートでは、意見回収の労力を大幅に軽減
【グループ】他クラスの活動予定をタイムリーに把握でき1日の活動計画が立てやすくなる

 

小嶋さん:

業務日誌やけが報告書など、紙で管理していたものはすべてLINE WORKSのテンプレート機能を使って登録し、そのテンプレートで掲示板に投稿するよう書類管理の仕方を変えました。手書きよりもスマホやタブレットで入力する方が時間を短縮でき、結果、業務時間が削減されました。また、事務室に戻らないと確認できなかったことも、持ち歩いているスマホでいつどこでもチェックできるようになり、情報共有もスムーズになりました。以前は職員の行動を可視化する方法がなかったのですが、テンプレートのおかげで入力の手間をかけることなく活動を見える化でき、誰かが自主的に行なってくれた仕事にも気付けるようになりました。また、テンプレートは後から修正できるので毎年変わる園のテーマを設問の中に含めて、業務日誌で振り返りできるようにもなっています。

 

掲示板では、テンプレート機能を使い、少ない入力で済むよう工夫を凝らしている

 

そして、テンプレート機能は朝礼でも効果を感じています。例えば、朝礼用のテンプレートを用意し、おおよその連絡事項は朝礼前に掲示板へ投稿してもらいながら、重要な連絡事項のみ絞って伝えています。以前は報告された内容を朝礼の時間中に紙に書いて記録を残していたので、次の発言者は書き終わるまで待ったりすることもありました。現在はその待ち時間もなくなり、またポイントを絞って報告できるようになったので以前の約2/3にまで時間を短縮できました。そうして生み出された時間は、日頃多忙な職員の心のケアのための対話に充てています

 

また、子どものけが報告は大小関わらず全職員が知っておくべき重要事項なので、業務日誌と同様に掲示板に投稿するようになりました。現在では投稿者以外の保育士・職員も、誰が・いつ・どのような怪我をしたのかなどを、タイムリーに把握することができています。報告する項目はあえて減らし、すぐ共有できるようにしています。

 

けが報告は、日時や発生場所などは選択するだけにし、迅速に報告しやすい項目にしている

 

吉田さん:

以前は、子どもたちと日中過ごしたあとに、時間を確保して他の職員が残した紙の記録を確認していたので、「よし、みるぞ」という気力が必要でした。LINE WORKSが導入されてからは、それが手元で手軽に確認できるようになったことは大きな変化です。

 

保育の仕事において、子どものある結果に至るまでの過程を把握することはとても重要です。それは担当保育士のみでなく、他の職員も同様なのですが、LINE WORKSを導入して情報共有をするようになってからは「その経緯を知らない」という職員はいなくなりました。

 

その他、保育士が当日のクラスの活動予定をグループトークで全職員と共有しています。その結果、全員が他のクラスの予定も踏まえて1日の活動を組み立てられるようになりました。

一日を通して全職員が同じ情報を差異なくリアルタイムに共有

 

 

また、LINE WORKSを導入している姉妹園とのやり取りもグループトークで行っています。以前は電話でのやり取りが多く、行き違いも多かったのですが、グループトークであれば、互いに自分の好きなタイミングで返信が可能になりました。その結果、姉妹園との連絡がスムーズになり、同じ年齢の園児たちを集めて園庭で遊ぼうといった、積極的な交流や企画も行われるようになりました。

 

さらに、アンケート機能を利用し、例えば「園で飼育するウサギの色は何色がいいですか?」という質問を職員に投げかけることもあります。以前は1人ひとりに聞きに回っていたことも、アンケート機能を使うことで手間が省け、効率的に回答を集められるようになりました。

 

回答結果は表やグラフで自動集計されるので、集計作業が大幅に省力化した

 

小嶋さん:

また、当園では「100対1の保育」という保育方針を掲げています。それは職員の1人ひとりが定員100名の子どもたちと向き合うという意味です。LINE WORKS導入により、情報の即時共有と全職員への情報伝達を実現した結果、この保育方針をさらに具体的な形で推進できるようになりました。

 

「100対1の保育」の投稿者の報告に対して数々のコメントが寄せられることで、全職員のマインドセット醸成につながる

 

例えば、担任の保育士が掲示板に「太郎くんが苦手だった人参を食べられるようになりました」と投稿したとします。その投稿を見た他のクラスの保育士たちは、太郎くんの保護者に「太郎君、人参が食べられるようになったそうですね!」と声をかけることができます。ちょっとした情報共有からクラスの垣根を越えた全職員による保育、つまり「100対1の保育」がより具体化されたのです。

会議室では鉛筆を使わないなど、LINE WORKSの利用にあたり園で意識していることがあるとうかがいました。

小嶋さん:

当園では特に3つのポイントを大切にしています。1つ目は「鉛筆は情報の独り占め」という考えの徹底です。実は、当園の会議室には鉛筆が1本もありません。鉛筆で記述した情報は、コピーしない限り他の人と共有できません。これは意図しない情報の独り占めを招き、保育の質を下げる可能性につながるため、当園では鉛筆の使用を止めタブレットやパソコン、スマホでの入力にこだわるようにしています。

 

吉田さん:

2つ目は、「新人は闇の中」という考え方です。当然ですが、新入職員は経験や知識がないため、現場がどのように動いているのかを理解するのは困難であり、その困難さを「闇」と表現しています。その闇を明るく照らすものが情報であり、園や先輩からの情報発信により、新入社員も保育園全体の状況や保育に対する考え方を理解していくことが可能になります。その意味で、簡単に情報にアクセスできるLINE WORKSは新入社員にとって非常に重要なツールとなります。

 

小嶋さん:

3つ目は「全職員への発信を大切にする」という方針です。当園では、全員が仲良く働く環境をつくることを目指しています。そのため、誰もが「私はその情報を聞いていない…」という疎外感を抱いてほしくありません。だからこそ、用務員さんや非常勤の保育士も含めた、全職員への情報共有を意識してLINE WORKSを運用しています。

LINE WORKSの活用を検討している他園にメッセージをお願いします。

小嶋さん:

保育業界では勤務時間中のスマホやタブレット操作が、保護者には仕事を怠っているように見えるのではないかという懸念からスマホアレルギーの文化が根強く残っています。当園だけでなく保育業界全体もICT化を進める必要があると考え、私自身、他の保育園にもLINE WORKSを推奨していますが、なかなかLINE WORKSの導入に踏み切れないところが多いのが現状です。

 

しかし、当園が実際に保護者への意見を求めたところ、職員が業務中にスマホやタブレットを使用することにまったく問題視していないことが明らかになりました。むしろ保護者としては、スマホで撮影した子どもの様子の写真を送ってもらえたり、タブレットで記録された正確な情報をもとに我が子の様子を共有してもらえることに、好意的な反応がありました。

 

そのような実際とイメージのギャップを認識した上で、保育業界全体でのICT化とLINE WORKSの活用を推進し、保育業界がより働きやすく、各保育園が理想の保育サービスを提供しやすい状況がつくり出されることを期待しています。

 

 

【お話を伺った方】

園長

小嶋 泰輔さん

さくらしんまち保育園の園長。

 

副主任

吉田 あやさん

さくらしんまち保育園の副主任。

 

※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2023年5月当時のものです。