長崎市 企画財政部 移住支援室
2022-11-24
業種
行政
目的・効果
非対面接客・営業 コンプライアンス・セキュリティ LINEとの連絡 導入のしやすさ 電話・メールの削減
主な活用機能
トーク
お話を伺った方
長崎市 企画財政部 移住支援室 係長 吉岡 利章さん(右)  
ながさき移住ウェルカムプラザ 移住相談員 髙山 雄彦さん(左)
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移住希望者の相談窓口にLINE WORKSを採用。相談者にとって電話やメールよりもカジュアルな窓口や情報発信のツールとして活用しています。

県外からの移住希望者をサポートする、ながさき移住ウェルカムプラザでは、相談窓口の一つにLINE WORKSを採用。電話やメールと比べて、より気軽に相談できる新たな窓口の存在は、相談者と相談員とのよりカジュアルなコミュニケーションの創出に加え、効果的な情報発信基盤としての役割にもつながっています。

 

<本事例のポイント>
  • 移住相談の第一歩をより気軽に踏み出せる雰囲気の醸成
  • 補助金など移住検討者に有益な情報を適切に届けることが可能に
  • 電話との連携で、移住者の意思決定とその後の手続きを迅速化

「ながさき移住ウェエルカムプラザ」の位置づけを教えてください。

吉岡さん:

総務庁の2021年の人口移動報告では、長崎市は転出超過が全国で2番目に大きい状況が2年にわたり続いています。なかでも大学進学や就職を機にした若者人口の転出超過が目立つというのが現状です。こうした状況を受け、長崎市へのUターン、Iターン移住者を増やすために2019年に企画財政部内に移住支援室が創設されました。移住支援室の取り組みの一つが、JR長崎駅前のホテル1Fに開設した「ながさき移住ウェルカムプラザ」になります。具体的には、3名の専任相談員が長崎への移住を検討される方からの住まいや仕事、子育て等に関する多様な相談を受け付けています。

 

移住を検討されるのは、どういう方が多いのでしょう?

髙山さん:

相談も実際に移住される方も、子育て中の若い世代の方が多いですね。お子さんの小学校入学・卒業を機に移住を考える30代、40代の方が中心になります。そのため、私たちとしても特に仕事の紹介には力を入れており、就職支援の専任の相談員を配置して、独自の求人開拓を行ったり、就職支援の関係団体と連携したりして移住希望者の転職のサポートを行っています。

 

 

吉岡さん:

昨年の移住者数は過去最大の418人で、移住支援室の創設以来、移住者数は順調に増え続けています。ただしその内訳はUターン移住者が大部分を占め、Iターン移住者については毎年100人前後で推移しているというのが現状です。市報などで親世代にアプローチ可能なUターン移住者と違い、長崎に縁故がない方へのアプローチは今後の大きな課題です。都市部にお住まいの方から長崎市に目を向けてもらうことはなかなか難しいと感じています。

ながさき移住ウェルカムプラザがLINE WORKSを採用された経緯を教えてください。

吉岡さん:

従来の相談方法は対面相談、フリーダイヤルによる電話相談、メールによる相談の3通りでした。コロナ禍を受け、対面相談がリモート相談に置き換わったりもしています。こうした中、私が強く感じたのは、いずれの方法も相談者にとってはかなりハードルが高いのではないだろうかという懸念でした。特に県外の方が移住先候補の情報を広く収集しようとした場合、いきなり電話は掛けにくいはずですし、メールに苦手意識を持つ方も少なくありません。そこで広く普及しているLINEを相談窓口の一つとして活用できないだろうかと考え、いろいろと調べる中でLINE WORKSに行き着きました。

 

LINE WORKS導入前の課題について、具体的に教えてください。

髙山さん:

面識のない者どうしでの電話は、どうしてもお互いに構えてしまいます。話もなかなか噛み合わず、途中で相談者自身がなにを聞きたかったのか分からなくなってしまうということもありました。またメールの場合、いろいろなことを一度に聞こうとするためか、なにを質問したいのかよく分からないということも珍しくありませんでした。そういう意味では、LINE WORKSは気軽に会話が始められて、電話より落ち着いて伝えられる、メールより気軽なチャットを通して、相手の核心にたどり着きやすい理想的なツールだと感じています。

現在、どのようにLINE WORKSを運用していますか?

吉岡さん:

2021年8月に導入し、現在は移住支援室としてのLINE WORKSアカウントを作成しました。LINE WORKSの使用は基本的にPCブラウザで行い、スタッフ全員が定期的にアカウントをチェックし、友だち登録があればすぐにお礼とながさき移住ウェルカムプラザに関するご案内をトークで送るようにしています。また支給PC上では個人情報を取り扱わないという長崎市のルールに基づき、就職に関する相談など、個人情報の確認が必要になる相談については、電話や対面相談に移行して行うようにしています。友だち登録された方は約100人で、そのうち具体的な相談まで至ったのは30人強になります。

開設にあたり、友だち登録を促すアピール等は行いましたか?

吉岡さん:

開設時に「LINEはじめました」という案内を長崎市のホームページで行うとともに、FacebookとTwitterの公式SNSアカウントに投稿しました。

ホームページのお問い合わせにLINEでの相談を掲載している

LINE WORKSとメールの使い分けで意識していることはありますか?

髙山さん:

個人情報の有無を問わず、LINE WORKSのやりとりは相談される方とのファーストステップだと考えています。常に次のステップである電話やリモートミーティングへの移行を意識するようにしています。LINE WORKSでまず相談者の気持ちをほぐし、相談しやすい雰囲気を醸成した上で、電話などでの本格的な相談に移るという考え方ですね。

 

吉岡さん:

これは「お役所あるある」だと思うのですが、実は我々も当初はLINE WORKSの問い合わせにがっちりとした長文で返信していたんです。しかし、会話をベースとしたLINEでメールのように長文が送られてきたら戸惑いますよね。そのことに気づいてからはなるべくメッセージは短くし、必要に応じて、電話やメールに移行するように軌道修正しました。

気軽に相談してもらえるよう、長文を避け短い返答を心がけている

友だち登録されたアカウントの管理はどのようにしていますか。担当の相談員がついたりするのでしょうか?

髙山さん:

担当者が2時間おきなど定期的に確認し、できるだけ早めに返信するようにしています。引き継ぎも、過去のやり取りが時系列ですぐに会話を遡れるLINE WORKSは引き継ぎの必要がなく使いやすいですね。また、友だち登録されたアカウントは「移住相談会を行います」や「市職員採用試験がはじまりました」など、移住を検討される方にとって有益な情報発信にも活用しています。

LINE WORKSからお送りする情報発信には、ほかにどのようなものがありますか?

吉岡さん:

移住に先立つものはやはりお金ということもあり、各種移住支援金の紹介を積極的に行っています。例えば、東京23区居住者などを対象とした移住支援補助金のほか、中学生以下の子どもがいる世帯を対象に市が独自に行う「子育て世帯ウェルカム補助金」などの利用も可能といった情報を送っています。

移住に関する補助金の相談などにも的確に回答

LINE WORKSの利用で特に印象に残っていることはありますか?

髙山さん:

ながさき移住ウェルカムプラザでは、空き家バンクと連携した住まいの紹介も行っています。具体的には、相談者の要望をうかがった上で条件に見合った登録物件の紹介サイトのアドレスをLINE WORKSでお伝えしているのですが、必要に応じて電話でのやり取りを行うことでスムーズに契約に至ったケースはとても印象的でした。相談者にとってLINE WORKSは入りやすいだけでなく、効率的な情報収集のツールとしても役立っていると感じています。また海外在住の方が将来のUターンに備え、友だち登録するケースもあります。

移住時の住まいのお困り事なども、詳しくヒアリングし的確なアドバイスを行う

最後に今後の展望を教えてください。

髙山さん:

かしこまらずカジュアルに相談できることがLINE WORKSの魅力だと思っています。移住に興味のある方とより気軽に相談できる雰囲気を醸成していきたいですね。

 

吉岡さん:

長崎市は、観光地としては知名度がありますが、移住先としても非常に魅力があります。例えば、多くの観光客が訪れる市街地から、ちょっと足を延ばせば海山の自然と触れ合えるというまちの適度なコンパクトさが挙げられると思います。交通機関が発達し、県外からの進出企業も多く、大都市からの移住でもスムーズにまちに溶け込める地域です。また長崎市は現在、駅前再開発や駅近のサッカースタジアム建設などのビッグプロジェクトが進んでおり、百年に一度とも言われる長崎のまちづくりに関わることができます。

LINE WORKSは相談しやすい窓口として、また、このような長崎市の魅力を移住検討者に発信するツールとして今後も活用していき、UターンだけではなくIターンの移住者を増やすことにより一層力をいれていきたいです。

 

【お話を伺った方】
吉岡 利章さん

長崎市 企画財政部 移住支援室 係長

県外からの移住をさまざまな面からサポート

 

髙山 雄彦さん

ながさき移住ウェルカムプラザ 移住相談員

主に住まいや暮らしに関する相談を担当

 

※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2022年6月当時のものです。