和心亭豊月
業種
サービス
目的・効果
従業員間の連絡 スマートフォン活用 ノウハウ共有
主な活用機能
トーク
グループ
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お話を伺った方
専務取締役 杉山 慎吾さん

5日間でLINE WORKS導入を決断。旅館の営業再開を待つスタッフどうしをつなぎました。

まもなく創業70年目を迎える和心亭豊月(わしんていほうげつ)は、「大人宿」をキャッチフレーズに、個性豊かな風呂とモダン懐石が楽しめる神奈川県箱根の温泉旅館。新型コロナウイルスの影響で、休館を余儀なくされたことからLINE WORKSを導入し、スタッフどうしをつないでいます。試行錯誤のツール選定の末、LINE WORKSに行き着いた和心亭豊月 専務取締役の杉山慎吾さんに、導入に至るまでの背景と導入後に実現できたことを伺いました。

 

本事例のポイント
  • コロナ禍で休業を迫られるなか、すぐに展開できるとLINE WORKSを採用
  • 写真さえ貼れば投稿できるホームは、既読数をスタッフの関心度を図る指標に
  • 会えない休館中につながれることは従業員満足度向上にも寄与

リピート客に真摯に向き合うため
蓄積された情報を活用したい

杉山さん :

私は、大手ホテルでの勤務を経て2009年に家業を継ぐ形で戻ってまいりました。当旅館は、15室という規模から、団体客は難しく他の地区に比べて交通の便もあまりよくはありませんが、リピーター率4割を長らく維持してきたという特徴があります。その理由のひとつに、ICTによる顧客情報管理の仕組みが整っていたことが挙げられます。

 

 

戦略立案のために事業分析を進めた結果、この10年は建物の改築のようなハード面よりも、むしろサービスや人材といったソフト面で勝負する戦略をとってきたということがわかりました。リピーターに助けられてきた旅館でもあるので、こうしたお客さまに向き合うべく、情報の蓄積・伝達がオペレーション上、重要になってくると考えました。たとえば、お客さまは左利きなのか、お子さまの名前はなにか、旅の目的はなにかなどを把握することで、宿泊に来てくださったお客さまにより素晴らしい時間を過ごしていただけると感じました。

 

このような「情報を知恵にしていく」という活動の一環として、今から3年前に利用者の問い合わせに応えるFAQサイトではオラクルのクラウドサービスを導入しました。これにより、オペレーションに関しては即時性のある情報共有が可能になり、履歴を溜めるカルチャーも組織内に根付いてきました。また、顧客データやそれに紐づく利用データなどを分析するBIの導入にも取り組み、予約や利用内容、館内での消費傾向、担当者ごとの売上などかなりの部分で可視化でき、マーケティング戦略に活用しています。

一方で、FAQの拡充やBIの導入により、顧客に対する情報の蓄積や活用までは進んだものの、経営者が意思決定した施策や理念を組織としてスタッフに浸透・実行していく課題に直面していました。

 

あえて名物料理を作らず、旬にこだわる和心亭豊月の料理

 

全員が集まるミーティングは年2回
スタッフに向けた情報共有ツールを模索

杉山さん :

当館のような規模の旅館には、”会議”というものが存在しません。顧客のスケジュールに合わせたシフト勤務を採用しています。旅館の1日は、お客さまのチェックインから始まり、チェックアウトで終わります。そのため、スタッフによっては午後から次の日の朝までという「たすき掛け」という休み方もあり、そもそもスタッフ全員で集まることが難しいです。

オペレーションに関してのミーティングは、毎日15分を1日2回行っていますが、全員集まるのは年に2回しかありません。また、幹部社員もいわゆる現場の仕事を抱えたプレイングマネージャーなので、ミーティングが30分以上になることもありませんでした。

そのような経緯から、全員が集まらなくてもスタッフどうしで情報共有が可能なプラットフォームを検討し始めました。

選択肢から除外されていたLINE WORKS。
コロナ禍で発想が転換し5日間で導入を決断

杉山さん :

ツールの導入検討を始めたのは約3年前からで、4製品ほどのグループウェアを試用してみましたが、どれも一長一短でした。機能が足りなかったり、逆に機能が豊富すぎて使い切れなかったりといった感じです。重要視していたのは通知機能です。スマホ用のアプリ版ならともかく、ブラウザ版は通知機能に貧弱なものも多かった印象でした。

 

また当時はPCやスマホなど社用端末を貸与する前提で考えていましたが、スタッフに聞いてみると、私と現場の感覚が違うことがわかりました。そもそもスタッフは座っている時間がないので、フロント業務以外ではパソコンに向き合える時間がとれないことや、端末を2台持つのは面倒くさいという声も大きく、普段使っている1台のスマホですべて完結させたいというのが現場の意向ということがわかりました。

 

開放感の高い露天風呂「出合い月〜灯〜」

 

こうした現場のニーズを踏まえたとき、実は、LINEの名前を冠するLINE WORKSはプライベートなツールというイメージが強く、選択肢には入りませんでした。LINEのようなサービスは生活に密着しすぎて仕事では使えないのではという印象がありました。また、LINEは写真の保存期間が2週間であることから、情報の蓄積という点も難しいだろうという思い込みも、当時はありました。導入を決めるギリギリまでLINE WORKSだけはないな、と思っていました。仕事で絵文字なんてとんでもないくらいの感覚でした。

 

しかし、コロナウイルスの感染拡大により従業員が一同に会せなくなるかもしれないという危機感もあるなか、かつ日頃から忙しくしているスタッフにイチから操作を覚えてもらうのはすごく負担になると考えていました。だったら、最もプライベートなLINEに近いLINE WORKSの方が、むしろみんな使いやすいのではないかと考え方が一気に変わりました。

また、メンバーの初回登録時にメールアドレスが不要で、LINEからアカウント作成やログイン認証できるという点もメリットでした。他社製品は、意外とメールアドレス前提だったりしますが、プライベートでもメールを使うことは少なくなっているし、LINE WORKSを使うためにわざわざ全スタッフにメールアドレスを付与するのも違う気がしました。

 

実際に使ってみると、LINE WORKSの使い勝手はLINEのユーザーに親しみやすいものだったし、法人向けということで情報を蓄積・活用することにも長けてることがわかりました。

3年まるまる考えてきて、LINE WORKSに決めたのは最後の5日間でした。

全スタッフのトークルーム運用とホームから利用を開始
休業に来なくなるスタッフへの告知手段に

杉山さん :

スタッフに聞いたところ、20人のうちLINEを使っていなかったのは2人に過ぎなかったため、導入に障壁はないという判断をし、3月の中旬にフリープランを登録しました。初期設定では、私が管理画面で組織を作り、部署ごとにメンバーを割り当て、まずは全員参加のトークルームを作りました。

それと並行して、ホームの機能を用いて、社員向けの掲示板として活用をはじめました。最初の投稿はLINE WORKSの運用を始めることと、そして新型コロナウイルスの影響で休館しますという告知でした。もともと4月6日から4日間の休館予定でしたが、緊急事態宣言を受けて、4月下旬(当時)まで休館することにしました。スタッフは来なくなるので、どうやって告知しようかなと思ったとき、LINE WORKSがちょうど役に立ちました。

 

休館・休業の案内をLINE WORKSで実施

既読数もわかり写真を貼れば投稿できるホームを活用
会えなくてもつながれる手段がありがたくてしようがない

杉山さん :

現在は、休館の期間を利用し、LINE WORKSでの情報共有をいろいろ試しています。一番のメリットは投稿が残り、後からでも振り返れることです。たとえば、メディア掲載のお知らせや売店の新商品紹介、LINE WORKSの使い方のルールなどを発信し、スタッフがどのような情報に関心があるかを見ています。一番、既読率が高く速いのはお客さまの口コミの共有です。昔は回覧や紙の掲示物として出していたのですが、LINE WORKSだと写真を貼ればよいので即時性を担保できます。やはり、スタッフとしてはお客さまの反応が気になるようですね。

今後はスタッフに向けたアンケートやカレンダー機能による施設管理も利用していく予定です。

 

毎日会っている人と会えなくなる不安はスタッフ全員が感じているはず。でも、LINE WORKSがあるので、会っていないのに、スタッフどうしで会えているような感覚になっています。人がいないと始まらない商売なので、休館中もつながれる手段があるというのは、私たちにとってはありがたくてしょうがないです。結果的に従業員満足度の向上にも寄与していると思います。

 

今後はLINE WORKSをもとにオペレーションしていきたい

杉山さん :

休業は資金繰りなど厳しいですが、普段なら着手できないことに取り組むにはいい機会になりました。再開後は毎日5分でいいから会議をし、その会議の履歴をナレッジとして残そうという取り組みをスタートさせていこうと思っています。みんなが共通で見られる、みんなが発信できるLINE WORKSのようなプラットフォームを元にオペレーションすれば、結果はおのずと付いてくると思います。

 

※本記事は2020年05月01日にて公開されたASCII編集部作の記事をリライト掲載したものです。